ソックリ「青江二奈さん」ガックリ
これからも歌い続けます
すい臓がんで2日に死去した歌手、青江三奈さん(享年54)を慕う日本で唯一のそっくりさん歌手が、悲しみにくれている。その名も、青江二奈(あおえ・にな)(50)=写真。本家の訃報にがっくり肩を落としつつ、「青江さんの歌をこれからも歌い続けるのが私の役目」と新たな目標を見つけたようだ。
 切れ上がった目にややハスキーな声、ちょっと太めではあるが、雰囲気は三奈さんそっくりだ。それだけに、三奈さんの訃報を聞いたとき、「信じられないと言うより、ショックでした。他人と思えなくて、自分の一部というか、お姉さんのように思っていたから」と語る。
 二奈さんは福島市出身。地元の学校を卒業して上京したころ、三奈さんの「伊勢佐木町ブルース」が大ヒットしていた。「当時から周りの人たちに、『似てるよ』って言われていたけど、あまり意識してなかった」。カラオケブームの最中だった昭和56年、周囲の推薦でテレビ東京系「全日本そっくり大賞」に出場。その後、2人の子供を育て普通の主婦生活を続けていたが、平成6年、再び同番組に出演して以来、「お母さんの人生だから、やれるだけやってみれば」と家族のすすめもありステージ中心にプロ活動に。
 三奈さんの楽曲を手がけたことのある作曲家、原田昌明氏と知り合い、9年には日本クラウンより「あなたのため息」で歌手デビューも果たした。今年2月には東京・浅草の木馬亭でステージを開き、先月にはデビュー7周年のディナーショーを横浜のホテルで開くなど三奈さんの恩恵ははかりしれない。
 三奈さんとは過去に3回、会ったことがあり、最後は一昨年の秋、神奈川県内で行われたビクター演歌祭りの会場だった。「花束を渡して、握手していただいた。あまりにも似ているせいか、会うたびにお互い、鏡を見ているようで不思議な気分になるって笑い合いました」。そして、「一緒にステージに立つのが夢でしたけど、ついにかなうことは無くなっちゃった」と寂しそうだ。
 今後は、三奈さんの全盛期を知らない若い人にも、三奈さんのすごさを伝えたいという。「心に残る良い曲ばかり。私でよければ、多くの人に青江さんの曲を聴いてもらって、いつまでも青江さんの存在を忘れずにいてもらいたい」。
 6日の通夜、7日の告別式にも参列し、三奈さんの霊前に意志を報告する。